この世の中いい人ばっかや、悪い人はおらん。”まちづくりは仲間づくり”みたいなもんや。【今井 富夫さん】

業界の発展は我が社の願い。
同業者でも、同じ仲間。歩み寄るところはちゃんと歩み寄る。

【今井さんのお店(七尾花正株式会社)にて撮影】

☑今井さんご自身が、地域のまちづくりや個人で大切にされている価値観について教えてください。

大切にしとることは、「相手を思いやること」やな。

綺麗な言葉すぎるかもしれんけど(笑)。どんな時でも相手を思いやって理解して大切にすることやな。

あと、おれの生き方は「敵をつくらないこと」ねんて。そのためにはやっぱり、相手に対して理解をしてやることが大切。そうしたら敵にならないから。

同業者でも、同じ仲間だと思うから歩み寄るところはちゃんと歩み寄る。業界の発展は我が社の願いや。

わしらの年代の同業者でも廃業していくやつはいる。

どんな商売でも誰かは必ず生き残っていくげんて。「じゃあ、誰が生き残っていくんか」っていう人もおるけど、そのうちの誰かの中にならなきゃあかん。今まで築いてきた自分らの経験の上に、今の新しい人の考え方をプラスして、新しい人たちがこれから舵取りをしていくことが必要や。

-どうして他の会社にも生き残ってほしいとお考えになるのでしょうか。

どんな商売でも絶対必要ねんて。俺は花屋だけど、花屋がまず1軒もなくなることはありえないわけや。

必ず1軒ぐらいはその地域にあって、地域の生業としてやっていかれなあかんな。最後の1軒になるようにしてかなあかんな。

廃業していくやつにも「お前食堂やっとるけど、食堂なんてなかったら困るやろ」って言った。食堂がなくなったら消費者も困るやろ?誠実にやってれば社会として必要なもんねんから、社会として必要なもんは残っていかれるんやから。と言うんねんけど、「もういい、もういい。」といわれる(笑)。

-経営がつらくても、続ける意義があるのは社会として必要なものだとお考えだからでしょうか。

どんな商売でも必要とされているものがある。必要とされていないものはすでに淘汰されとるねんて。

いろいろまあ、廃業せざるを得ないのは社会の変化もあるけどな。その中で工夫すれば決して廃業しなくてもやっていける、どんなまちの食堂でも、菓子屋でもな。なんか1つうまいもん作っていけばやっていける。

これは演歌歌手と一緒やって、1回紅白出ればそれで一生食ってかれるやろ?だからそういうものをつくらなあかんな。

☑株式会社御祓川の設立時、今井さんは弊社に出資してくださいましたよね。
その時はどのような思いで応援してくださっていたのですか。

「自分らでまちづくりをせなあかんわ」という共通した思いやったから、お金を出資することで、生きた金になればいいなと思った。何でも物事一緒なんだけど、お金出さなきゃダメや。思ったら口だけではなく、参画する1つの権利を持つためにも出資しなきゃあかんな。俺はそういう考え方や。

-これから一緒に頑張ってやっていきましょう!ということでしょうか。

そうそう、それは別にお金だけじゃなくて、ものとか考え方とかそういう提供物もあるかもしらんけどな。見守っていくにしても何にしても、基本となるのはお金、出資やな。

☑次世代に期待することはなんでしょうか。

一生懸命働いて、社会に貢献してほしい。

-「貢献」とは?以前取り組まれていたまちづくり活動に参加してほしいということでしょうか。

いや、どんな方法でもいい。一生懸命やってる人を見ると輝いているからな。

-これからの若者たちにこうなってほしいという願いはありますか

思うだけじゃだめやな、行動しなきゃ。思うだけだったら、人はわからんのや。

「いくらこれがいい、こんなやり方がいい」と思っていても行動に起こさないと人はわからんね。思ったら行動することやな。

昔、まちづくり活動を展開していくにあたって、御祓川流域の街並みの景観を町屋風の街並みのようにしていきたいと思っていた時期があった。それを言っていたら、森山外志夫(株式会社御祓川代表取締役会長・マリンシティ推進協議会メンバー)が「言うだけじゃダメや。それを言うだけじゃ周りからの理解は得られない。まずはわしらが先にやってみせよう」ということで、まいもん処いしり亭(七尾のお食事処)を作った。

まずは自分からやることで、そうしたら人のことに口を出すということはなくなるのではないか、ということになった。

いくら好きな男がおっても、いくら思ってたって口に出して相手に言わなきゃ気づかないもんな。

-そうですね(笑)。

☑今後の御祓川に期待することはありますか。

会社に若い人たち(インターン生)がいっぱい入ってきて、一生懸命がんばってくれていて素晴らしいことだと思う。

強いて言えば、起業した人・起業する人を探したり、起業希望者を見つけてきて起業の支援をしたり、あとはバックアップやフォロー、経営のやり方の支援をしてほしい。今は色々働き方改革、法律、福利厚生などと決まりが厳しく、経営していくうえでの重要な課題となっているので、そのバックアップとフォローができる人材を育ててほしいなと思う。

起業した会社には大きく成長し、持続していってほしい。やっていけばいろんな悩みが出てくるだろうから、安定して会社がやってくれるように成長の段階までサポートしてもらえるといいのではないかと思う。

株式会社御祓川設立前からお世話になっている今井さんに、七尾のまちづくりの歴史から、まちづくり活動を市民とともに進めていく上で大切にされていることについて、お伺いしました。貴重なお話をしていただき、ありがとうございました!