家業の想いを受け継ぎながら、次世代に繋がる挑戦を。【高澤久×森山奈美】

株式会社御祓川の事業の三本柱である、まち育て(御祓川大学)・みせ育て(能登スタイルストア)・ひと育て(能登留学・能登の人事部)それぞれの事業で関わるパートナーの方々と株式会社御祓川社長 森山奈美の対談企画。

これまでの取り組みと七尾のまちづくりの歩みを振り返りながら、今後のまちづくりのあり方、まちづくり会社としての役割を考え、未来に繋げていきます。

今回の対談は、”ひと育て”の視点から、”能登留学・能登の人事部”に関わってくださっている【株式会社高澤商店 高澤ろうそく5代目 高澤久さん】にお話を伺いました。

【株式会社御祓川とのご関係】

御祓川の株主企業。能登留学の第1期からの受入先。その後も、インターン生の受け入れで海外マーケティングを進め、その後、海外事業部担当者を募集する際に、能登の人事部として初めて、採用支援に関わる。

※能登の人事部
能登の中小企業の「人」に関する課題に対応するワンストップサービス。研修、採用支援、インターンコーディネートを行う。地域(能登)に根づいた仕事が掲載されているWEB求人サイト。
移住を検討している方や能登でキャリアチェンジを検討されている方のサポートをしている。新卒のキャリア設計、兼業人材の新しい働き方、UIターン者の移住支援など、求人の「周辺」にある事柄をサポートしている。
【https://noto.work/】

※能登留学
能登の中小企業や集落に地域外の若者が入り込む長期実践型インターンシッププログラム。1ヶ月半〜半年間、能登にインターン生が入り、地域や企業が抱える課題に取り組む。インターン生は、期間限定のプロジェクト担当者として活動する。
【https://notoryugaku.net/】

【対談者プロフィール】

●高澤久(株式会社高澤商店 代表取締役)

石川県七尾市生まれ。京都産業大学経営学部経営学科卒業。平成7年株式会社日本香堂入社。平成13年株式会社高澤商店入社。平成29年より現職。創業者から数えて五代目となる。一男一女の父。趣味はランニング。

●森山奈美(株式会社御祓川 代表取締役)

石川県七尾市生まれ。横浜国立大学工学部建設学科建築学コース卒業。都市計画専攻。
平成7年 ㈱計画情報研究所入社。都市計画コンサルタントとして、地域振興計画、道路計画等を担当。民間まちづくり会社㈱御祓川(みそぎがわ)の設立に携わり、平成11年より同社チーフマネージャーを兼務。平成19年より現職。
様々な主体が関わるまちづくりのつなぎ役として、能登の元気を発信し「小さな世界都市・七尾」の実現を目指して日々、挑戦中。

【老舗和ろうそく店5代目経営者×民間まちづくり会社の経営者】

「自分のいる現時点がゴールではなく、大きな時間の流れの中の一部分であると思っていて、そのことに喜びを感じます。」(高澤久)

自分は高澤商店の終着駅ではない、大きな時間の流れの中の一部分

森山:代々受け継がれてきた歴史ある家業を継ぐことは、本当に大変なことかと思いますが、高澤さんは、家業を継ぐ以外の選択をしたいと考えられたことはありますか?

高澤:うーん、そうやねえ。僕はあまり思ったことない。

森山:そうなんですね!

高澤:思ったことがないですが、もしかすると、家業を継ぐべきという雰囲気が何となく周囲にはあったかもしれないですね(笑)。けれども、実際に5代目として継いでみて特に思うことは、「僕が高澤商店の終着駅ではない。」ということですね。

森山:へえ~、なんだか素敵です。

高澤:先祖から駅伝のように襷が代々繋がってきて、次は僕に襷が託されましたと。そして、これを次は僕が後継者に託していく。自分のいる現時点がゴールではなく、大きな時間の流れ(長い歴史)の中の一部分であると思っていて、そのことに喜びを感じます。

森山:その喜びは家業を継がれてから、思ったことですか?

高澤:継いでから思いましたね。実際に継いでみて、一個一個の積み重ねが大切だと感じます。高澤ろうそくの歩みを調べてみると、和ろうそくはずっと作り続けているけど、でもその中で新規事業をやってみたりしているんです。手を出してみたけれど、すぐに辞めた事業もあったり。繊維産業が伸びていた時期には、繊維の会社を経営していたこともありました。

森山:え!そうだったんですか?

高澤:でもすぐにパッと辞めてしまって、多分ダメだと思ったんだろうね。

森山:へえ~、高澤商店さんにそんな歴史があったのですね。

高澤:先代の歩みを知って、何でもやってみるってことが大事かなと。頑なに守る部分もあるけれども、高澤商店という企業の今後を考えた時に、次に繋がるプラスアルファをやってみようと思いました。

森山:なるほど、次のことをね。

高澤:やってみて実際にダメだったらしょうがない。高澤商店の過去を調べて、事業を途中で辞めようか迷い、試行錯誤した時期にどのように考えたのかを想像してみる。調べてみると、「やるぞ!」と思ってやってみたけど、やっぱりうまくいかず、辞める決断をしていた時期もあって、でもその中で決断力が培われていましたね。それを先代から学んで、次に繋げていこうと思いました。

森山:決断力、、、。大事です。

高澤:受け継ぐというのは、考え方や行動、決断力を受け継ぐということだと思うんですよね。

森山:そういうことですよね。つまり、ただ会社を受け継ぐだけでなく、高澤商店の先代から重層的に培われてきた”スピリッツ”を受け継いでいらっしゃるのですね。

自分が持っていた殻に気づかせてくれた能登留学のインターンシップ 

森山:高澤さんには能登留学で初期の頃からご一緒させていただきました。高澤商店さんにとって、インターンシップの実施は’’挑戦”であったかと思いますが、うちの会社にとっても大きな挑戦でした。

※能登留学
能登の中小企業や集落に地域外の若者が入り込む長期実践型インターンシッププログラム。1ヶ月半〜半年間、能登にインターン生が入り、地域や企業が抱える課題に取り組む。インターン生は、期間限定のプロジェクト担当者として活動する。
【https://notoryugaku.net/】

高澤:そうですね。

森山:高澤さんは、能登留学の中で、インターン生と一緒にどんなことに挑戦したのですか?当時のことをお聞かせ下さい。

高澤:奈美さんから、能登留学のインターンシップ受け入れのお話を頂いて、実際にインターン生の募集をしました。でも実際に学生が来るかどうか分からなかったですね(笑)。

森山:分からなかったですね〜(笑)第1期でしたからね。

高澤:そう。最初の募集のときは、別川さんという学生が来てくれました。実際に来てもらったけど、何をしてもらうのかは、インターンシップ中に見つけて行く形で進めていきましたね。

森山:インターン生の別川さん、高澤さんに正面からぶつかっていきましたよね(笑)。

高澤:ハハハ(笑)

森山:あの時、「普段問われないようなことをインターン生に問われる。」とおっしゃっていたのが印象的でした。

高澤:そうそう(笑)。普段は聞かれないようなことを、別川さんに質問されましたね。その質問は、自分が当たり前だと思っていたことを改めて考えるきっかけになりました。

森山:具体的にはインターン生に何を聞かれたのですか?

高澤:「高澤さんは、何でネクタイするんですか?」と聞かれましたね(笑)。

森山:えーー!(笑)

高澤:その時の僕はスーツを仕事着にして、夏場でもネクタイをしていたんですね。格好はスーツであるべきだと何となく思っていて。だけど別川さんに、「和ろうそくを扱う方って、ネクタイしませんよね?」と質問されたんですよね(笑)。

森山:そんなこと言ったんだー!へえーー!

高澤:そうそう(笑)。それを言われて「あ、本当やなあ。」と気が付きました。使う人の立場に立つじゃないけど、お客様の立場で物を見る必要があると思ったので、確かその時からネクタイしなくなりましたね。

森山:本当?すごい!!!お客様の目線ですね。

高澤:そのようなことを色々と聞かれて、普段意識していないことを改めて考えるきっかけになりました。聞かれるまでは、自分の考えの殻がありましたね。「そういう自分の中の固定観念をなくさないとダメだな。」ということを彼女に学んだことの中で一番大きかったです。

森山:そうなのですね~。

高澤:だからインターン生を受け入れたことで、持っていた自分の殻に気づかせてくれて、学びになりました。その経験がまた次のインターンシップに繋がることになったんです。

森山:なるほど。

高澤:自分の持っていた殻は必要のないもの。でも知らず知らずのうちに持ってしまう。なるべく、「和ろうそくや高澤商店ってこんなもんだろう。」みたいな決めつけをしないようにと思いますね。

森山:そうですよね、知らず知らずのうちに、自分で制限をつけてしまっているところはあるかもしれません。
高澤商店が海外プロジェクトを始動させたのは、その後からですよね?何人か連続でインターン生を受け入れて頂きました。海外のマーケティングのプロジェクトを進めてこられてどうでしたか?

高澤:そうですね。今度は明確に「こうして欲しい」という目標があって、それに対する仕事内容については学生と相談しながら進めていきました。インターン生は、とにかくそのプロジェクトの部分に100%時間を使ってくれるから、僕が気づけなかったことに気づかせてくれて、思いがけないことがありましたね。

森山:詳しく聞かせてください。

高澤:自分の中で、新しい取り組みである海外プロジェクトに関しては、連続で3人学生を受け入れました。受け入れるたびに、プロジェクトがステップアップしていくことを実感し、自信を深めていきました。

森山:チャレンジですね。高澤さんは能登留学を通して、先代方がやってこられたような”新しいことをやってみる”ということを実践されました。インターン生を受け入れられた中で、印象に残っていることはありますか?

高澤:3人目に来てくれた中里さん、面白かったですね(笑)。

森山:面白かったですよね~(笑)。

高澤:ゴールドマンサックスで東京のオフィスに行って、ブラッシュアップをした時に、ずっと継続していたプロジェクトを中里さんにやってもらっている話をしたところ、「インターン生の持ち味を発揮出来ていないんじゃないか。」というアドバイスを頂きました。終わった後に、中里さんと二人で話して、「中里さん、本当は何をやりたいの?」という話をしました。

※ゴールドマン・サックス中小企業経営革新プログラム
新規事業創造等を通じて、経営革新を起こすことに取り組 みたい中小企業とともに経営革新プロジェクトを実行し、地域ひいては日本全体における「中小企業の経営革新モデル」を生み出すことを目的としたプログラム。 大学生(もしくは若手社会人)が参加する長期実践型インタ ーンシップ制度を活用し、地域の志ある中小企業と大学生の挑戦を支援することを目的に実施。

森山:おおおお!!(笑)それでなんて言ってたんですか?

高澤:その時に中里さんが、「ろうそくをすごい所に使ってほしいんですよ。」みたいな感じで話してくれたんです。

森山:すごいところ?(笑)。

高澤:そう。「海外へのプロモーションのために、和ろうそくを一番のところに使ってほしいです。」と。彼女曰く、一つはパリコレに出る。もう一つは、ローマ法王にろうそくを献上すること。「バチカンの教会で高澤ろうそく灯せれば最高です!」みたいなことを話してくれて、じゃあそれをやろっか、って言いました。

森山:それすぐOKしたんですか?(笑)。

高澤:すぐOKした(笑)。

森山:本当?高澤さん、決断早い!

【ローマ法王に和ろうそくを寄贈された時に取り上げられた記事と手紙】

森山:実は、バチカンからメールが来た時、たまたま彼女と一緒にいたんです、泣いて喜んでました!彼女らしいチャレンジでしたよね。

高澤:それともう一個あって、中里さんは子供たちと絵付け体験をしたいと。海外事業とは関係ないけど、「和ろうそくが地域にとって身近なものになるように、何かしたい」という想いを持ってくれていて、実際にやりましたね。いまでも時々、ろうそくの絵付け体験をやっています。

森山:絵付体験というのは、あの時が初めてだったんですね!

高澤:初めてだった。あれも僕の中で、「絵を描くのって難しいし、筆を使い慣れた人じゃないとグチャグチャになってしまうから、お客様をがっかりさせてしまうんじゃないか。」という思い込みがあったんですよね。

森山:そっか、思い込みがね~。

高澤:でも中里さんは、「やってみましょう!」と、簡単に出来る方法を彼女なりに考えてくれました。色々と試行錯誤してくれて、素材やどういう方法がいいかとか、簡単にうまくできる方法を編み出してくれました。

森山:なるほど。ある意味、新しいことをやってみるという、高澤ろうそくのスピリットを継承したのかもしれませんね。

高澤:ローマ法王へのろうそくの献上だったり、絵付け体験だったりと色々やりました。大きな成果を残してもらったと思いますね。

高澤さんが、老舗和ろうそく店の経営者として大切にしている考え方

森山:家業で人を育てていくのは、家族的な関係性がありながら、新しい人が入って来た時には、その人を育てていかなければならないですよね。”従業員の育成”と”経営者としての成長”の2つが必要とされると思います。高澤さんが経営者として成長するために、取り組んでいらっしゃることを教えてください。

高澤:一つは本を読むということですね。

森山:へえ~。どんな?

高澤:経営的な部分の知識として、必要なことを本で学ぶ。でもそれって、経営テクニックの部分だと思うので、そればかりじゃダメだと思うんです。だから、あともう一つは、人間的に良くなろうと心掛けていますね。

森山:へえ!それは具体的にどういうことですか?

高澤:例えばだけど、社内ではネガティブなことを言わないとかね。心の中では「ちょっと難しいかな」と思っていても、「いや、大丈夫」と切り替えていますね。

森山:なるほど。

高澤:例えば、コップの水が半分なくなっていたとして、そのなくなっている方を見るか、それとも残っている方を見るかの考え方で、僕はプラスの方を社内で話すようにしています。経営者の話すことって自然と伝わるし、会社の空気をつくるので、僕がこうしたいなと思う方に喋っていますね。

森山:なるほど、そういうものの見方、考え方は、自然と社風を作りますよね。

地域の中の“高澤ろうそく”、地域との連携

森山:最初のインターン生の別川さんの時にテレビ取材が来て、そこで別川さんが「マーケティングのことを勉強しに来たつもりだったけれども、”一本杉通りのまちをまわっていらっしゃい”と高澤さんに言われて、地域の人との繋がりとか、当初とは違うことを学ばせてもらってます。」みたいなことを言っていて、良い学びだと思って印象に残っています。
そのお話のように、高澤さんは、まちとの繋がりを凄く大事にされていらっしゃると感じるのですが、いかがですか?

高澤:うーん、そうですねえ。

森山:商店街のお仕事で、細かな部分までされていらっしゃいますよね?

高澤:そうですかねえ。そこまで意識はしてないけど、それはやらなければいけないことというか、自分がやるべきことの一部だと思うんです。まちのことっていうのは、商店街だけじゃなくて大きく考えたら、七尾、能登のことでもあり、石川県全体のことでもある。どの立場に置かれていても、自分が所属してるところを良くしたいという思いがあるんです。

森山:なるほど~。

高澤:だから商店街だったら、まちの役員を務めて、どうやったらまちをより良くできるかを考えて取り組むことが、自分のやるべきことだと思っています。

森山:それが、まちと共に歩む家業の姿ですね。尊敬します。

“自分のまちを自慢する人”が増える七尾の未来へ

森山:七尾全体で言うと、駅前のこともあって、あまり元気な状態で見られないことがありますよね。

高澤:「ああ、大変やねえ。」みたいな感じでね。

森山:やっぱり、「この自分たちの世代で、何かしらやっていかないといけないことがあるのではないか?」と思いつつ、一歩踏み出せてない感じがするんですよね。それを誰がやるのかというところで、お見合い状態に見える時があったり、、すごくざっくりとした質問ですが、今後七尾をどうしていけばいいでしょうか?

高澤:そうですねえ、どうしていけばいいか。う〜ん、、難しいなあと思うと、そこで考えが終わってしまうからね。

森山:そうなんです。

高澤:利害関係が難しいとは思うけど、活性している・生き生きとしている状態が、どういう時かを考えた時に、僕は「住んでいる人が自分の住んでいるところのことを自慢げに話すこと」だと思います。大きい建物や大企業があるということではなく、自慢できるものが増えていくといいですね。

森山:そうですね。

高澤:それで僕は何をしてるかと言われると、、特に何もしてないなと思うけど。

森山:いや、高澤ろうそくが七尾にあるということが、七尾の自慢です!

【高澤ろうそくの店内商品の様子】

高澤:テレビや取材でうちが取り上げられることで、七尾にはこんな企業があって、「世界のローマ法王にもろうそくを送ったんだって!」みたいなことを1つ話題にしてもらって、この地を知ってもらえたら有難いと思いますね。

森山:私も活性化ってどういう状況かを考えた時には、高澤さんと似たようなことをイメージしますし、その”活性”は動いてるという状態で、停滞してないということだと思います。だから、常にチャレンジが生まれていることや、チャレンジコミュニティがあることが、活性化状態だと私は思っています。

高澤:うんうん。

森山:だから理想を目指して、目指す先にたどり着いたからといって終わりじゃない。常に動いている状態で、新しいものが入ってきたり、一方で必要に応じて辞めていくものもあったりとか、それ自体も活性化ではないかと思っているんです。

高澤:それは確かに思う、その通りですね。動き続けているっていうことだよね?

森山:そう、動き続けているってこと。その一方で、七尾って新たに動いたものとか、外から入ってきたものに対して、どう捉えるかによるけど、応援する雰囲気がまだ少し足りないのではないかなと思うんです。

高澤:新しいことに対してあまり積極的でない部分はあるかもしれないね。「誰かがやろうとしているんだったら応援しよう!」みたいな雰囲気だったらもっと挑戦しやすくなるよね。

森山:そうですね。

高澤:やりたい人もやりやすいし、住んでる人も応援できるのはきっと自分も楽しいだろうし、それがうまくいったら自分も喜べるよね。全体でそんな心持ちになれたらいいね。

森山:そうですね~

高澤:でも、ここの長所は、祭りが長く続くということ。それは良いことだと思う。

森山:そうですね。

高澤:「準備大変だしやらなくてもいいや」じゃなくて、”やり続ける風土”がここにはあって、それは良さだと思う。そうじゃないと何百年も続かないよね。

森山:なるほど。

高澤:自分が生きている間の時間だけで考えたら、50年とか60年のスパンでしかない。冒頭の話じゃないけど、大きな時間の流れの中で見ると、自分の関わっている割合ってちょっとだけど、能登の自然や風土の歴史はものすごく長い。自分はその中のたったの一部なんだよね。

森山:そっか~。

高澤:だからちょっと引いてみると、停滞してるから良くないわけでもないかなと思う。「静かな時もあるよね」みたいな感じ(笑)。ここには祭りを続けられる良さがある。

森山:なるほどね~そっか。やっぱり見ているスパンが長いですね。

高澤:そうかもしれないね。長い歴史がある企業となると、10年や30年単位を意識して考えていく思考の癖があるからかもしれないね。

株式会社御祓川は「外に開かれた窓口」

森山:最後に、お聞きしたいのが「能登の人事部」について。高澤さんには、正社員採用のマッチングでご利用いただきました。人材の確保や人材育成のサポートの面で、能登の人事部や能登留学、株式会社御祓川に、今後期待することはありますか?

高澤:能登留学やインターンシップを七尾に持ってきてくれたのはとても画期的なことだと思います。あと、奈美さんの会社のバンコには大学生がいて、それが僕の刺激になる。知らなかった情報を共有してくれたり、「そうすればうまくいくんだ」という気づきを通して、そこから学びを得られる。だから、御祓川は”外に開かれた窓口”ですかね?

森山:なるほど!

高澤:外に開いている窓口みたいな感じで、外(地域外)から色んなひとを呼んできてくれたり、別の考え方を紹介してくれたりとかね。そこで、内側(地域内)にいる人がその考えに触れられる。いま手一杯で、色んな事を手掛けられない人にとって、御祓川は外の考えに触れられるきっかけを作ってくれていると思います。そこに期待していますね。

森山:外に開いている窓口、、なるほど。実は両方あるんですよね。都会の企業や都会の方々にとっては、うちが地域の中の入り口なんです。

高澤:両方の窓口なんですね。

森山:そうなんですよ。だから、この地域にはどんな方がいらっしゃるのかは、うちに聞けば分かるような立ち位置ですね。そういった方々は、高澤さんや多田屋の多田さんのような方から、考えを学ばれるんですよ。先程話していただいた考え方って、大企業にはないものなんです。

※「多田屋」 6代目 多田健太郎さんの対談記事【http://bit.ly/2InlW59

高澤:なるほどね。あと、御祓川に期待することというのは、「続けていってほしい」ということかな。

森山:はい!

高澤:諦めずにやり続けることが大事ですね。

森山:そうですね~

高澤:でも、御祓川のことを「こういうことです!」って、明確に一言では言えない。でもそれもひっくるめて良いところなんだと思います。

森山:表現が難しいところ、分かりやすく説明して頂いてありがとうございます!
これからも能登の人事部、株式会社御祓川をどうぞよろしくお願いいたします!

■編集後記

対談は、和やかな雰囲気で進んでいきました。質問に対する高澤さんのお話が、温かな言葉ばかりで、説法を受けているように、穏やかな気持ちになりました。高澤商店さんには、先代の功績やこれまで積み重ねてきた長い歴史がありますが、これまでのやり方のみに縛られることなく、何でも挑戦してみようという姿勢を常にお持ちで素晴らしいと思いました。また、当初馴染みがなかったインターンシップ(能登留学)の受け入れもしてくださり、「まちのために何かやりたい」と思っている人の一番の協力者、理解者であり続けてくださる方だと感じました。これからも、高澤商店さん、高澤久さんのファンの方が増えていき、七尾に様々な挑戦が生まれ続けるのではないかと思います。