”いま自分に何ができるのか”本気で考える会社でキャリアを描く。【圓山晃歩さん】

地元を出たいと関西の大学に進学。その後地元の良さを再認識し、能登での就職を決意。大学時にインターンを経験し、新卒入社。インターン時代からの経験を活かして、地域で挑戦したい学生と能登の中小企業のインターンシップコーディネーターとして、調整する架け橋の役割を担っている。”えんちゃん”と地域の方から愛されている圓山さんですが、実は高校を卒業するまでは地元が嫌いだったそうです。彼女はどうして地元での就職を選んだのでしょうか?内に秘めている熱い想いに迫ります!

☑基本情報(プロフィール)

【出身】石川県羽咋市
【名前】圓山晃歩

大学4年時(2015年8月~2016年3月)株式会社御祓川にインターン。2016年4月、新卒で入社。入社4年目。長期実践型インターンシップ能登留学【https://notoryugaku.net/】コーディネーター。

☑高校生の時に地元が嫌いだったにもかかわらず、どうしてUターンしようと思ったのですか?

理由は2つあって、1つ目は、地元が嫌いと思って外に出たけど、外に出てみて地元っていいなっていうことに気づいたこと。京都の大学に進学するまでは、地元しか知らなくて比較対象がなかった。だから、それまで享受してたものが当たり前のものでしかなかったんだけど、いざ京都に出て地元と比較できたことで、地元の良さを感じました。羽咋では、地元で生まれた人はみんな同級生みたいなもので、それぞれの家庭状況もよくわかっていて、何かがあっても誰かが助けてくれるような関係性でした。しかし、大学時代に京都に住んでた3年間は、マンションの隣の部屋の人の顔も知らなかった。家に野菜が届くっていう地元での当たり前の生活が、当たり前じゃないんだと気づいたときに、地元っていいなと思いました。

-なるほど、離れてみて地元の良さを再認識されたのですね。

理由の2つ目は、どういうところで暮らしたいかとか、どういう生活をしたいのか考えた時に、田舎の暮らしの方が自分に合っていると思ったこと。都会的なまちの生活よりも、山が近くにあるとか、海が近くにある方が自分は穏やかに過ごせるのではないかなと思いました。

☑どうして株式会社御祓川に入社しようと思ったのですか。

私は、地元で就職したかったのと、まちづくり会社がいいなと思っていたからです。

-入社に至った経緯について教えてください。

当時、御祓川は求人も出していなかったんだけど、「採用してもらえませんか」と連絡して、「とりあえず面接においで。」と言われて行きました。それで「インターン採用なら考えます。」と聞いてインターンすることを決めました。インターンが終わる頃に、一緒に働いてみませんか?と言ってもらって入社しました。

☑圓山さんが担当されている御祓川の事業の”能登留学”について教えてください。

”能登留学”は、長期実践型のインターンシップです。能登で留まって学ぶので、能登留学。インターンシップの目的は、能登の中小企業や集落が抱えている課題を解決していくことと、新規事業の立ち上げをサポートしていくこと。だから、単なる体験ではなくて実践型です。そこに参加してくれる大学生が、能登で成長して、自分らしいキャリアを見つけていく機会にできるように、私は企業と学生の両方をサポートしています。

長期実践型インターンシップ:就職、採用を目的にしたインターンシップとは異なり、中小企業、能登の場合は集落も含めて、経営革新や課題解決を目的にしたインターンシップ。期間は1か月~6か月と長期。学生がプロジェクトの担当者として、インターンに挑戦するプログラム。

【能登留学ホームページ:https://notoryugaku.net/

-実際にインターンシップのコーディネーターをやってみていかがですか?

コーディネーターと言われる人たちに求められる専門的なスキルがとても広いので、難しい仕事だなと思いますね。インターンシップコーディネーターの場合、コンサルティング、データ分析、コーチング、プロジェクトマネジメントなど、一つ一つに専門性が求められるものが多いと思っていて、とても高度な職種であるというのを感じています。

同時に、この仕事ならではの面白さというのも感じていて、たくさんの業種に触れることができるとか、単純にコンサルタントではない関わり方ができます。コンサルタントという立場よりも企業に寄り添って、高めていけるという面白さとか、学生が成長していくのを見ていく面白さというのがこの仕事にあります。

-能登留学(インターンシップ)を通して、中小企業はどう変化していくのでしょうか?

能登留学のホームページにも事例が掲載されているのですが、例えば、高澤ろうそく(株式会社高澤商店。七尾市内にある和ろうそく店)では、「海外事業部を立ち上げたい」という想いがあって、だけど市場の検証は難しいという悩みも抱えていました。そこに、インターン生を3期間(4か月×3名)連続で導入してもらって、海外へ向けてマーケティングを進めていく中で、事業部としてやっていけそうだという感触を経営者(高澤さん)に持ってもらうことができました。その次のステップとしては、インターン生ではなく、海外事業部マネージャーとして正社員を雇用し、彼が今、事業を動かしています。インターン生を入れ始めた当時から比べると、現在の海外事業の売り上げは300%に伸びている。この企業さんの成長へのステップをサポートできたというところが、インターンシッププログラムの価値だと思います。

能登留学実施企業インタビュー 株式会社高澤商店さん

―インターン生として活動する大学生側の変化はいかがでしょうか。

順風満帆にうまくいくプロジェクトなんてほぼなくて、学生が何かしらそのプロジェクトにぶつかって、経営先の課題に挫折をしたりするけど、その中でも自分はどうありたいのかを学生自身が考えていたりとか、その試行錯誤をしていたりしているんですよね。その中で、みんな最初よりもたくましくなって、社会人の色を帯びていく。最初は手取り足取り教えたりとかしなきゃいけなかった子たちが、帰る頃には自分で意見ができるようになっていたりとか、対等に話ができるようになったりしていて私はすごく嬉しいなと思います。

中には能登留学OBOGの中で他地域のコーディネーターとして働いている子たちも何人かいますね。能登で学んだことで挑戦した子が、自分の地域とかまた色んな所でフィールドをもって活躍しているのが、とてもうれしいなと思います。

☑お仕事のやりがいを感じることについて、教えてください。

まだまだ多くはないけれど、受け入れ企業の方や学生さんから、「圓山さんがいてよかった」と少しずつ言ってもらえるようになってきたことにすごくやりがいを感じています。やってきて良かったなと思うし、少なからず力になれているのかなと思えますね。

-圓山さんのサポートが手厚いからこそ、そのようなお言葉を頂くと思うのですが、圓山さんはコーディネーターとして、どのような姿勢でサポートでいらっしゃるのですか。

勝手にそこ(企業や集落)のスタッフになっているつもりで関わっていけると理想だなと思っています。経営者視点で物事を考えてプロジェクトを動かしていく姿勢が取れてるときは、そう言ってもらえることが多いですね。学生さんも最近、困ったときに頼ってくれようになってくれて嬉しいです。学生は成長が見えやすいので、成長したなって思える瞬間があると能登留学コーディネーターとしてやりがいを感じます。

☑株式会社御祓川は圓山さんから見て、どんな会社ですか。

目の前にいる学生、地域の人、企業、に対していま自分が(御祓川が)何ができるのかを、ひたすら本気で考えて支援するということを体現している会社だと思います。

-社長はどんな方ですか。

「やりたいことはやってみる」のバイタリティがある人です。何かやりたいことがあっても、自分のキャパシティや時間の制限とか、できない理由を探してやらないみたいなことが多いと思います。私もやりたいことがあってもそこを考えちゃうけど、社長はやってみてしまう。時間や体力に制限があろうと、やりたいって言ったことをやってしまう人ですね。そこを本当に尊敬しています。

☑株式会社御祓川で勤務していて、一番学んだことは何ですか。

「まちづくりの仕事はない」ということを学びましたね。例えば、パン屋さんとかもまちを作っているということを考えた時に、御祓川はまちづくり会社って言ってるけど、まちづくりっていう仕事はないんだなというのを会社から学びました。じゃあ何をするのか、ってなった時に、極論は「自分のやりたいことをやる」ってことだよね、っていう話を社長として、社長がやりたいことをやっている姿を見て、納得しました。まちづくりをするときに何をしなきゃいけないのかではなくて、「自分がそのまちに必要だと思う、且つやりたいことをやることだ。」と、気づいたときに私は拍子抜けをしましたね(笑)。

☑今後ご自身として、取り組みたい(取り組んでいる)ことはありますか?

今、母校の羽咋高校で外部講座を持たせてもらっています。大学のない能登に生きる高校生が、大学生を知らないまま大学生になっていくとか、実はあまり地域のことを知らないまま地域を出ていくという現状があります。それに対して、自分のキャリアや人生を考えるためのきっかけを与える講座をしています。今はトライアル期間として実施をしているところで、それが地元の高校にカリキュラムとして組み込まれたらいいなと思っています。

-どうしてこの講座を開講しようと考えたのですか。

大学生を知らないまま大学に行かなきゃいけないなんて、社会を知らないまま社会に出ていくみたいな感じですよね。もし大学に行く前から、大学生活というのを知ることが出来たならば、高校生活の時間の使い方が変わると思います。その先の自分をイメージしながら、自分の時間をどう使うのかということに対して、主体的になれるといいなと思っています。用意されたカリキュラムをただ与えられるままに享受するのではなく、自分の人生の主導権を握っていくことができる人を応援できる地域を目指して、今後も機会をつくっていきたいなと思っています。

インターンシップのコーディネーターや、圓山さんの地元羽咋の高校生たちの進路の選択肢が広がるような講座を実施されていて、まちづくりに様々な角度から関わり、現場のニーズに沿った伴走型の支援をされていると感じました。また、圓山さんが考える”まちづくり”についてもお伺いすることができました、ありがとうございました!