憧れていた田舎暮らしと今までにない新しい経験ができている【橋本亜弥さん】

“自給自足的な暮らし”に憧れ、仕事を見つけ能登に移住。能登の産品を販売しているWEBショップ「能登スタイルストア」を担当。もともとやりたいことであった「田舎暮らしの楽しさ」をSNSで発信するなど、新しいことに挑戦しながらスキルを伸ばされている橋本さん。「生産できる人になりたい」という橋本さんの世界観や、御祓川でのお仕事についてお聞きしました。

☑基礎情報(プロフィール)
【お名前】橋本亜弥さん
【ご出身】埼玉県川口市
2013年入社。埼玉県から移住。能登スタイルストア担当
前職は飲食業、CADオペレーター、NGO、市場調査勤務など多様な業界・職種を経験し、現職に至る。

-どうして株式会社御祓川で働こうと思い、参画されたのですか。

私はもともと田舎への移住を希望していました。ここに来る6、7年くらい前から東京で働きながら、ネットで移住先の仕事を探していて、「東京仕事百貨(現在は”日本仕事百貨”)」というWEBサイトで株式会社御祓川の求人を見つけました。

-この会社に応募しようと思った決め手は何だったのですか。

私の亡くなった祖父が七尾市出身で、子供の時に一度だけ来たことがありました。だから、知らない町よりは親しみがあったのと、まちづくりの会社で働くのは面白そうと思って応募しました。他に知り合いがいなかったので、遠い親戚がいたことも大きかったです。

-田舎に移住したかったのは、なぜですか。

パーマカルチャー関連を勉強したかったからです。昔、色々な仕事をしていて、そのうちの1つが国際協力関係の仕事でした。その頃、プライベートでパーマカルチャーを学び、都会的なライフスタイルが発展途上国の人たちを苦しめる側面を持っているということを知りました。職場では途上国の人たちの生活を良くしたいと思っていたのに、自分の想いとその時の生活が矛盾しているなと思って。だから、小さなことでも自分のできる範囲で自給自足的なことをしてみたいと思いました。

※パーマカルチャー
パーマカルチャーとは、パーマネント(永続性)と農業(アグリカルチャー)、そして文化(カルチャー)を組み合わせた言葉で、永続可能な農業をもとに永続可能な文化、即ち、人と自然が共に豊かになるような関係を築いていくためのデザイン手法。
【出典:http://pccj.jp/

-自給自足的な生活に憧れて、田舎に移住をしたかったのですね。

私は都会にいると消費者にしかならない。もっと”生産できる人”になりたいと思ったんだよね。生産できる人っていうのは、買うだけじゃなくて自分でも何かを作れる人。だからモノを消費しているだけの都会の生活が嫌になった。100%自給自足は無理だし、自分一人の力では大したことはできないけど、自分のポリシーのために何か少しでも自分のできることはしたいなと思った。ちょっとでもそんな生活に近づけることができたらと思って移住したいなと。

それと、家庭菜園がしたかった。実家は埼玉の住宅地で、畑はどんどんなくなって、家ばっかりになっちゃって。今は、家の周りが田んぼだらけのところに住んでいます。だけど、サラリーマンをしながら畑もちゃんとやるのは思った以上に難しいので、家庭菜園はちょっとしか出来ていませんが、、(笑)。でも、ご近所さんから分けてもらえるので、ありがたいです。その中でも、梅干しや味噌など保存食を作ったり、少しだけ理想に近づけています。

-橋本さんが担当されている「能登スタイルストア」について教えてください。

能登スタイル発足のきっかけは、能登半島地震が2007年にあって、その時に「自分たちだけで立て直すのにはなかなか難しい、能登の中小企業や事業者さんをサポートしよう」というところから始まりました。取り扱っている商品は、大きな工場で作っているところよりも、小規模に手作業でやっているところが多いです。そういう小さくて、家族だけで売っているような事業者さんたちは、当時、ネット販売には馴染みがあまりなかった方も。そこで、能登スタイルストアがネットで売ることで販路拡大のお手伝いに・・・というスタンスです。

立ち上げ後、能登スタイルストアオリジナルで「能登の赤なまこコスメ」シリーズを作りました。現在は、石けん、化粧水、ハンドクリーム、入浴料があります。七尾はなまこの産地なのですが、なまこ工場のお母さんたちの手が冬でも荒れずに綺麗なことから、ヒントを得て開発しました。食用なまこの捨てていたところを利用して作っています。品質にこだわって作られている自慢の商品です。

【能登スタイルストア オリジナル商品の能登の赤なまこ石けん】

他には、「能登スタイル」という能登の情報発信のサイトもあります。

【能登スタイルストアHP:https://notostyle.shop-pro.jp/
【能登スタイルHP:http://www.notostyle.jp/

-具体的には、どのようなお仕事をされているのですか。

基本的に能登スタイルの商品をWEB上で販売する仕事で、事業者さんやお客さんとのやり取りを担当しています。他には、新商品をWEB上にUPしたり、チラシ作り、SNSやメルマガなどでの広報、商品によっては梱包や発送作業もしています。時々ですが、イベント出店などもあります。WEBショップといっても、一般的なお店と同じように接客業ですね。

-仕事をしている上で面白いと思うところや魅力について教えてください。

お客さんとのやりとりは基本的にメールだから、普段はそんなに顔の見える感じはしないけれど、ネットで注文してくださったお客さんが能登スタイルの商品の感想をたまにメールで返してきてくれたりすると有難いなあと思います。なかなかウェブショップではお客さんの声は入ってこないので。

-どのような感想を頂けるのでしょうか。

例えば、お刺身や干物とかを注文してくださった人から、「両親が珠洲(能登の最北端)出身なので喜んでました!」「懐かしい味でした!」とか「また買いますね」みたいな感想を頂けます。嬉しいよね。

-能登スタイルを通して、たくさんの方に素敵な能登の商品を知っていただけると嬉しいですね!

能登スタイルでやっていることが、能登の良い品を全国の人に知ってもらう一助になっていると思います。能登に埋もれている良いものが、もっと知れ渡れるようにしていきたいです。

-この会社で働いていて気に入っていることはありますか。

うちの会社って、やりたいことは割と自由にできる方だと思います。わたしは、能登スタイルストアで「四季の暮らし部」というプロジェクトを去年からやっていて、手しごとなどの四季の暮らしをSNSやお便りで提案しています。それは私が田舎でやりたかったことと繋がっているので、これからもっと「四季の暮らし部」に力を入れていきたいと思っています。

-自分のやりたいことが仕事にできるのですね。「四季の暮らし部」について詳しく教えてください!

SNSでは、四季の暮らし方や手づくりのものを発信し、全国の部員の方と共有しています。インスタグラム上で「#四季の暮らし部」とハッシュタグをつけて投稿していただければ、部員の一員になることができます。

また、”四季の暮らし部”をより楽しめる「四季のお便りコース」と「四季のプレミアムコース」の有料部員コースもあります。部員の方には、一年間季節ごとに四季の手しごとや昔ながらの生活の知恵などを提案したお便りと、季節や自然を感じるような、ちょっとした能登のプチギフトをお送りしています。

▽四季の暮らし部の部員登録や特典の詳細はこちら
https://notostyle.biz/seasonal_lifestyles/

-年に4回届くお便りは温かみがあっていいですね!

お便りに載せる季節ごとの記事も「そろそろ〇〇を作るといい時季です」とか「陰陽五行的な観点から、この季節はこういう過ごし方がおすすめです」みたいなネタを入れながら書いています。手作りを楽しむことで地球にやさしい生活を増やしたい、というのが裏テーマなので、「ちょっとエココーナー」などもあります。

【四季の暮らし部からのお便り】

-インスタグラムでは、能登の暮らしや自然をアップしているのですか?

「梅を使ってこんなものを作りました」とか、季節の手しごとの写真が多いです。丁子(チョウジ)の実を使った虫除けの作り方は、コース部員の方へのお便りに書いて、写真はSNSにアップしました。簡単に作れるものも載せているので、興味をもってもらって「作ってみようかな」と思ってもらえたらいいなと思って、投稿しています。

【四季の暮らし部(@seasonal_lifestyles)インスタグラムの投稿より】

【四季の暮らし部のWEBページ >> https://notostyle.biz/seasonal_lifestyles/
【四季の暮らし部インスタグラム >> https://www.instagram.com/seasonal_lifestyles/

-橋本さんの提案する”こだわりの四季の暮らし”に興味があります!早速インスタグラムをフォローしました!(笑)

-株式会社御祓川で成長したことは何ですか?

WEBショップの仕事は初めてだったんだけど、経験するうちに商品を卸して販売するとか、WEBページを編集するためのHTMLもわかって編集できるようになったり、WEBショップの基本の仕事は、できるようになったかな。あとはワークショップで人に教えるとか、そんな経験は以前は全くなかったけど、ここで働いたことで経験できた。そういうのって度胸も必要だし、初めてやるときは「私が先生でもないのに教えるって…」と自信がなかったけど、この能登スタイルの仕事を通して今までにない新しい経験ができています。

-今後、株式会社御祓川をどうしていきたいですか?

”能登スタイルストア”でというよりは、御祓川全体での話になってしまうのですが、もっとbanco(御祓川大学メインキャンパス)に色々な人が集まったりする場所になったらいいなと思っています。私は外から来た人なので、わからないっていうのもあるんだけど、20代から30代くらいの地元の人が、普段どこで集まったり、遊んでいるんだろうというのが見えなくて。ここで生まれ育った人たちに聞くと、大体遊びに行く時は金沢などに出ちゃうとか聞くんだよね。そんな日があってもいいと思うけど、より地元(七尾や能登)が面白い場になって、地元の人が地元を楽しめる場所を作っていけたらいいなと思っています。

国際協力関係の前職での問題意識から、暮らしにこだわりたいと、Iターンしてしまう行動力に驚きました!プライベートと能登スタイルストアの仕事の中で、やりたいことを実践されていて素敵だと思います。お話ありがとうございました!