一軒の農家民宿をまちづくりの拠点として、次世代に地域未来のバトンを繋げたい【梢正美さん】

株式会社御祓川は”駆け込み寺”。御祓川を通しての出会い、知識の習得がなければ今の私はないです。

-株式会社御祓川は、梢さんにとってどのような存在ですか。

地域づくりを始めた当時は、志賀町で地域づくりや新しいことをしている人たちはいない時代だったので、「変わったことを言っている」、「生意気」など色んなことを言われたりしました。ですが、(株)御祓川に来ると共感し合える人たちが集う環境だったので励ましてもらって、そのエネルギーを自分の地域づくりの参考にし、活かしていました。

-具体的に、どんな機会があったのですか?

いろんな人と繋がることができる公開セミナーをやっていました。具体的には、”能登留学関係、うまみんのパートナー、勉強会などいろんな場に参加しました。(株)御祓川の機会を通して得られたのは知識だけではなく、”同じ仲間とのふれあいや情報の共有”ですね、金沢まで行かなくても身近で情報をもらうことができました。

※能登留学
大学生向けのインターンシッププログラム。
【https://notoryugaku.net/】

※うまみん(能登旨美オンパクうまみん)
地域の資源を生かした体験プログラムを実施している。
【http://www.umamin.net/】

-ここでいろんな繋がりをつくられていたのですね!

その繋がりが能登留学でもありました。(株)御祓川のインターンシップコーディネーターと密にコミュニケーションが取れていて、ちょっとした相談にものってもらっていました。(株)御祓川さんは私の心の相談相手で、”駆け込み寺”のようなところでした。本当に悩んだときは長文のメールを送ったりと、気持ちのやり場がないときに助言をいただいていました。

-梢さんにとって、(株)御祓川は身近な相談相手でもあったのですね!

バンコの存在、御祓川大学(banco)で公開しているセミナーでの出会い、知識の習得は非常に大きい。それがなければ、今の私はないです!

-梢さんは、2014年に能登留学でインターンシップの受け入れをされていらっしゃいました。当時どのようなプロジェクトであったのですか。

「農家民宿立ち上げプロジェクト」として、インターン生を受け入れました。古民家こずえのコンセプトは、「人(若者)を呼び、まちづくり機能を持った民宿として拠点にすること」であったので、”まちを変える農家民宿プロジェクト”としてインターンシップを進めていきました。あの時の言葉通り、”一軒の農家民宿からまちを変えていく”という動きが、今繋がっているなと感じます。

【能登留学の活動の様子】

-インターンシップ(能登留学)受け入れ前の農家民宿は、どのような状況であったのですか?

古民家こずえは、”地域に人を呼び込むための場所づくり”を目的として立ち上げました。ですが、お客さんが来ない、若者が来ない、何をしたらいいかわからない、コンテンツがないという不安な状況でした。

-実際にインターン生として大学生(よそ者)が入ってみて、集落に変化はありましたか?

大きく変わりました。地域の人たちが”暮らし”に誇りを持つようになり、集落に笑いが増えました!実際に、地域の人が「楽しみが増えた」と言っていたのを聞きました。学生と交流していなくても、田んぼの端から若者を見ているだけで元気になりますね。

-「田舎に何があるの?」と考える地域の方もいらっしゃいますよね。梢さんはどう思いますか。

私はいま、地域には”小さな幸せ”がいっぱいあると思います。田舎に楽しいことがあると気づかせてくれたのは、能登留学初期のインターン生です。夏休みの一か月間(インターンの受け入れ期間)、「志賀町楽しい!」とあんなに思ったのは人生初でした。当時のインターン生と一緒に志賀町の魅力を掘り起こす、体験プログラム作りに取り組みました。いろんな場所にインターン生を連れて行った時に「夕日ってこんなにきれい!」、「このおっちゃん面白い!」など、ひとつひとつ喜んでくれました。普段と全然景色が違う志賀町を見ることができ、発見がたくさんありました。

-第三者の”よそ者”の視点が入ることで気づきがあったのですね!

実は発見すれば地域の良さはいっぱいあるものだと思います。ただ、住んでいるとわからないものですね。だからよその人に来てもらうことで、新たな発見があるので地域の人も一緒に楽しめると思います。よその人が来ておもてなしをしなければならない関係ではなくて、よその人と地域の人が互いに交流することで、一緒にその感動を共有することができる。それらを〝つなぐ〟ことで地域も元気になれるのではないかと思います。地域の人、都会の人、双方に化学反応が起きたらいいなと思っています。

【能登留学の活動の様子】

-株式会社御祓川に、今後期待することはありますか。

能登の人事部ですね。
人材をこれから地域に呼び込んでいく中で、また新たな形で人材の確保という面での連携や、人材育成という部分で一緒に関わっていけたらと思っています。(株)御祓川さんは高度なノウハウを持っていらっしゃるので、引き続き先頭を走っていただいて、伴走型でご支援していただきたいです。

※能登の人事部
地域(能登)に根づいた仕事が掲載されているWEB求人サイト。
移住を検討している方や能登でキャリアチェンジを検討されている方のサポートをしている。新卒のキャリア設計、兼業人材の新しい働き方、UIターン者の移住支援など、求人の「周辺」にある事柄をサポートしている。
【https://noto.work/】

-梢さんご自身の今後の夢についてお聞かせください。

今後の熊野での活動に関しては、やり甲斐を持って、仲良く、楽しくともに活動する仲間を増やすこと。そして、いつかは地域のリーダーとして仲間を率いてくれる若者に「くまのを元気にする」プロジェクトを引き継いでもらいたい。そして、私は農家民宿のお母さんとして畑で野菜を育て、自家製の漬物や料理でおもてなしをして毎日を暮らしたいと思っています!

-地域未来をつないでいくサポートを、今後も続けられていくことは素敵な夢ですね!

本当は・・・自分が中心ではなく、主役は地域で暮らす人たちやここに集まる人たちだと思っています。自然と人と暮らしがつながる場所を、これから100年先までもずっと残し続けていける「くまの」を夢見ています。

-このインタビューを通して、梢さんは「人」をとても大切にしていらっしゃることが伝わってきました!

なぜなら、私は人が好きなので(笑)。人と真正面から向き合い、価値観の異なる人との出会いは、時には苦労もありました。でも、価値観が多様であるからこそステキな絆が生まれ、そこから「生きるパワー」をもらえたこともあります。だからどんな人も好きなんです(笑)。お年寄りの方々はいろんな思いを持って現在に繋げてくださっていて、その地域の未来のバトンを受けて今活動することができています。だから、次は私が次世代に繋げていく役目だと思っています。

熊野地域のまちづくり活動や、株式会社御祓川との出会いから現在までの連携について、お話を聞かせていただき、ありがとうございました。